リフォーム工事をするなか、政府や行政からの助成金を利用することはとてもメリットがあります。
長期優良住宅なら最高300万円、耐震助成金なら100万円ほど(行政により違う)の助成金が受けれることができます。
この助成金の申請をするときに、設計者は既存住宅状況調査技術者である必要があります。
私も、一級建築士ではありますが、助成金の申請のために講習を受けることにしました。
ネットで調べているうちに、オンライン講習があることを知り、オンラインで受けてみることにしました。
受けてみての感想など、参考にしてみてください。
Table of Contents
背景
平成28年3月に閣議決定された「住生活基本計画(全国計画)」において、
既存住宅が資産となる「新たな住宅循環システム」を構築するため、
建物状況調査(インスペクション)における人材育成等による検査の質の確保・向上等を進めることとしています。
平成29年2月に創設した既存住宅状況調査技術者講習制度を通じて、
既存住宅の調査の担い手となる技術者の育成を進めることにより、
宅地建物取引業法の改正による建物状況調査(インスペクション)の活用促進や既存住宅売買瑕疵保険の活用等とあわせて、
売主・買主が安心して取引できる市場環境を整備し、既存住宅流通市場の活性化を推進してまいります。
登録講習の実施機関一覧
1.一般社団法人 住宅瑕疵担保責任保険協
http://kashihoken.or.jp/inspection/search.php
2.公益社団法人 日本建築士会連合
https://aba-svc.jp/house/inspector/index.html
3.一般社団法人 全日本ハウスインスペクター協
https://house-inspector.org/members/inspector
4.一般社団法人 日本木造住宅産業協
https://www.mokujukyo.or.jp/initiative/inspection/search/
5.一般社団法人 日本建築士事務所協会連合
http://kyj.jp/inspection/search
現在はこの5つの機関が現在の機関となります。
私は、一般社団法人 日本建築士事務所協会連合で申し込んでみました。
申込について
まずは、オンライン講習受講のWEB申込を行います。
このオンライン講習は、受講可能期間内であれば、24時間いつでも受講することができます。
(受講可能な期間の最終日の24時までに講習内容の全てを終える必要があるためご注意ください。)
なお、申込にあたっては、都道府県の協会の一覧が表示されますが、
住所または所属する建築士事務所所在地の都道府県で申込んでください。
該当する都道府県が一覧にない場合や、満員となっている場合は、どの都道府県でも申込みできます。
(お申込先による違いはありませんが、受講料の振込先・支払い方法は都道府県で異なりますので注意してください)
必ずお申込先の都道府県の協会へ受講料をお支払いください。
支払い方法が銀行振り込みの場合は、振り込み控えを用意の上、申し込み入力画面へ進んでください。
注意事項として
Cloud Campusというサイトで受講します。
事前に対応するか確認しておく必要があります。
新規講習の場合は、受講時や修了考査受験時に、Webカメラを使用した顔認証(生体認証)を行いますので、
必ずご用意ください。更新講習はカメラは不要です。
新規講習はWebカメラが無い場合はご受講できません
・パソコン内蔵のカメラ
・外付けカメラ(30万画素以上で認識するWebカメラ)
・モバイル端末のカメラ(スマートフォン、タブレット等)
推奨環境について
以下のURLより、講習受講に関して最新の推奨環境をご確認いただけます。
Cloud Campusサイト
https://cc.cyber-u.ac.jp/about/function/#environment
Google chrome または Safariが推奨環境とされておりますので、環境を整えて頂き、ご受講頂きますようお願いいたします。
(最新のブラウザ推奨バージョンについては、Cloud Campusサイトにてご確認ください。)
受講した感想
感想はまず、オンラインで良かった!
理由
①わざわざ会場に行かなくていい
コロナ禍で会場迄の電車や会場での人との接触も心配無用
②好きな時間帯に受講できる
決められた期間内なら日をまたいでも問題なし。
自分の都合で時間調整できる
③一時停止や、聞き漏らしたら戻ることができる。
マーキングするところを聞き漏らした場合など便利
④自分のベストな環境で受講できる。
エアコンなどの会場環境で暑い寒いも自分の思いどり
うるさいなど周りの環境も気にしなくていい
おやつを食べながらでも受講できる?…
今までもいろいろと講習に行きましたが、オンライン講習は初めてでした。
問題点は、期間内ならいつでも受講できるという、魔の誘惑に負けてしまう可能性があること。
会場での受講ならその日を逃すと終わりだが、オンラインは次の日でも構わない。
「明日受講するのめんどくさい!」など考えてしまうと、先延ばしにする可能性がある。
意思の問題ではあるが…
それ以外は、絶対オンライン講習がオススメです。
既存住宅状況調査(インスペクション)とは
既存住宅状況調査技術者が行う既存住宅状況調査(インスペクション)とは、
構造耐力上主要な部分(基礎、壁、柱等)に生じているひび割れや、屋根、
外壁等の雨漏り等の劣化事象・不具合事象の状況を、目視、計測等により調査するものです。
破壊検査、瑕疵の有無の判断、建築基準関係法令への適合性の判定等は含みません
既存住宅状況調査技術者になるためには
既存住宅状況調査技術者として登録するためには、
建築士が既存住宅状況調査技術者講習を受講し、修了考査に合格することが必要です。
講習は、建築士であればどなたでも受講でき、建築士事務所に所属しているか否かは問いません。
ただし、依頼者等からの求めに応じ報酬を得て調査業務を行うには、建築士事務所に所属している必要があります
(建築士法上の建築物の調査に該当するため)
講習には「新規講習」と「更新講習」の2種類があり、
既に既存住宅状況調査技術者の資格を取得されている方は、
講習内容を一部免除された「更新講習」を受講することができ、受講料も減額されます。
登録有効期間
講習を修了した日の属する年度の翌年度の開始日から3年を経過する日まで。
合格基準
技術者講習会の時期などで違うかもしれませんが、
新規講習:30問中正答数21問以上、更新講習:20問中正答数14問以上を合格
合格発表は試験後、1ヶ月ほどかかります。
最後に
現在の住宅市場
少子高齢化が進み人口が減少していく傾向なのですが、約10年前と比べ総住宅数は8%増加しています。
背景は核家族化によるものと思われます。
平成30年度の総務省の統計局調査によると、総世帯数の88%が核家族世帯又は単独世帯となっています。
新築住宅の着工は微増している中、空家は年々増えている状況となっている。
首都圏の住宅価格の高騰
首都圏の平均住宅価格は、マンションで5,871万円、建売住宅で5,168万円
平均年収の6.4倍〜7.3倍 一次取得者の平均年収の場合8.1倍〜12倍となる。
その背景から、中古住宅に対するニーズが増えてくることが予想されます。
政府の動きとして、空き家の増加が増える中、「いいものを作って、きちんと手入れして、長く使う」社会に移行していくことが重要とし、新たな住宅循環システムの構築を目標としている。
そのことから既存住宅流通の市場規模を、
2013年 4兆円 → 2025年 8兆円
と12年間で倍増する計画となっています。
そう考えると、この既存住宅状況調査技術者が重要になってくるのではないでしょうか
建築士であれば、講習を受けて終了考査に合格すれば技術者となれます。
コロナ禍の巣ごもりの今こそ、ステップアップするいい機会ではないでしょうか