リフォームするなら絶対に失敗したくない!
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もっと中立に、ユーザー目線のものがあればいいと思い、私の経験と知っていることを皆さんに情報発信しています。
リフォームについて学んでいただけるような場所を作りたくて、
『リフォームを考えたら学べるブログ』を立ち上げました。
どうぞ、よろしくおねがいします。
前回は、『プレシニアから人生折返し!住まいと暮らしを考えよう』という題で、
内閣府が高齢期の健康で快適な暮らしの為の住まいの改修ガイドラインを発表した内容に触れました。
今回はその続きで、ガイドラインが目指す4つの目標に対しての、配慮すべき8つの事項について説明します。
リフォームを考えるなら、高齢期にさしかかる前の可能な限り早い段階で、自らの判断で住まいの改修をすることが望ましいとされています。
この改修ガイドラインを踏まえて、リフォームについて考えてみたいと思います。
Table of Contents
住まいの改修ガイドラインについて
国土交通省 住宅局安心居住推進課が平成31年3月公表の
『高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドライン』に沿って解説したいと思います。
ガイドラインに至った背景などは、前回のブログで説明しているので、今回は内容から入っていきます。
■ガイドラインの内容
ガイドラインが目指す4つの目標
長く健康に暮らせる「住まい」
自立して自分らしく暮らせる「住まい」
介護が必要になってからも暮らせる「住まい」
次世代に継承できる良質な「住まい」
改修を選択していく上での手順(考え方)
- 住まい方の自己選択
- 住まい方の専門家への相談
1・住まい方の自己選択
重要なことは、自らの選択と判断です。 その自らどこに視点を向けて考えるのかを6つの視点として表しています。
6つの視点
- 自らの意向
- 自らの心身状況
- 自らの経済状況
- 家族の状況
- 住宅の状況
- 地域の状況
以上の視点から箇条書きでもいいので思いつくことを書き記していくといいです。
次に優先順位を付けてみればわかりやすいし、次のステップで説明が簡単です。
①自らの意向
②自らの心身状況
③自らの経済状況
④家族の状況
⑤住宅の状況
⑥地域の状況
2・住まい方の専門家への相談
6つの視点からまとまったことである程度判断できたら、専門家への相談をしましょう。
建築・資産活用・法律・介護福祉など分野は様々とは思いますが、相談窓口を訪ねてみましょう。
どうすればよいかわからない場合は、まずは最寄りの役所など問い合わせてみるのもいいと思います。
最終的には、リフォーム業者との相談になります。
配慮すべき8つの事項
- 温熱環境
- 外出のしやすさ
- ト イ レ・浴 室 の利用のし やすさ
- 日常生活空間の合理化
- 主要動線上のバリアフリー
- 設備の導入・更新
- 光・音・匂い・湿度など
- 余剰空間の活用
その中でも特に早期に改修を行うことが重要と考えれている項目が以下の4つの事項です。
- 温熱環境
- 外出のしやすさ
- トイレ・浴 室の利用のしやすさ
- 日常生活空間の合理化
1・温熱環境(重点事項)
高齢期の生活では家で暮らす時間が長くなります。
2・外出のしやすさ(重点事項)
加齢に伴い、外出することが面倒になってきます。そのため家にこもることが多くなります。
ますます孤立化し、新たな生きがいや人間関係が作れなくなります。
また、運動不足にもなり、健康面でもよくありません。
外出しやすい環境にすることで、少しでも外に出る機会を増やすように計画したいものです。
考えることとして、玄関や勝手口までの経路を実際に歩いて想像しましょう。
- 玄関での靴の脱ぎ履きをしやすくするために、ベンチ、手すりの設置、玄関框の高さなども改善
- 玄関にキャリーカートや車イス、杖などの設置スペースを検討
- 土間部分は滑りにくい素材でかつ掃除しやすい素材を選ぶ
- 扉は引き戸で開口が大きく取れるモノを選ぶ
- 玄関扉外には庇などの雨よけができる物を造る
- 外階段の高さは低くし、スロープが設けられるならスロープを造る
- 夜間でも暗くならないように照明計画を考える
- 車庫との動線も同じように考える。
- 車庫のゲートは電動式など開閉が楽なものを考える
- 車庫から車の乗り入れのし易いスペースの確保
- 敷地に余裕がない場合は、減築も考える
3・ト イ レ・浴 室 の利用のし やすさ(重点事項)
もし、自分の体でなにかあった場合、トイレと浴室は非常に問題がでてきます。
なんとか自立できるようにしたいところです。
介護が必要となった場合は、介護者の負担も軽くしたいところです。
まずは、簡単なところから考えると、頻度の多いトイレです。
特に夜間のトイレは、寝室からトイレまでの経路を生きやすい環境にするべきです。
考えたいことは、バリアフリーの問題とヒートショックの問題です。
トイレで考えることは
- 移動や介護者のことを考えて、トイレに対して横に出入り口を設ける
- できるだけ広く取りたい
- 扉は引き戸
- 手すりなどの設置
- 暖房機器の設置
- 断熱対策
- 手洗いを別に設ける
- 掃除のしやすいトイレや節水式などもついでに考える
浴室は介護が必要となると、専用のお風呂設置になるので、現在はユニットバスで考えていいのではないでしょうか。
家庭内での溺死の事故が多いと聞きますので、ヒートショック対策が必要です。
この場合は浴室だけでなく、更衣室となる部分も対策が必要です。
- ユニットバスにするだけでかなりの断熱効果があります。
- 窓の断熱化
- 更衣室・浴室の暖房機器の設置
- 扉は引き戸
- 手すりなどの設置
- 浴槽で溺れない対策
- 滑らない床
4・日常生活空間の合理化(重点事項)
子育てが終わり、余った部屋の対策を考える必要があります。
使っていない部屋の掃除や移動、維持管理のためのメンテナンスなど、不要な労力や出費が予想されます。
また、加齢に伴い、洗濯物の干し物や布団干しや掃除など、階段の昇り降りが頻繁に必要になります。また荷物を持ちながらの移動など負担になる。それに危険になってくる。
- できるだけワンフロアーで物事が解決できる暮らしに変えていくことが望ましい。
- 扉の交換を考える。
- 開き戸の場合は、開閉の際、一歩動きながら動作が必要になります。引き戸なら止まって動作できるので安全性が高い。
- 不要な部屋の減築を行うことで、清掃やメンテナンスの低減や、日当たり確保など可能になる。
5・主要動線上のバリアフリー
加齢に伴い、少しの段差や、少しの暗がりでも足元による転倒などで怪我などの事故となります。
また、今までの感覚で過信して失敗なども起こってきます。
日常生活で、移動しやすくて転倒しにくい環境整備が必要です。
すべてをバリアフリーにすれば問題ないですが、予算などの条件があれば、優先順位で考えましょう。
日常の中でよく移動する行動を考えてみましょう
寝室、リビング、台所、トイレ、洗面、廊下、階段、玄関、道路までの通路
段差だけでなく、通路幅(車イスが通れる)、扉の形状、補助の為の手すり、滑りにくさ、コンセント・スイッチの位置
なども見直す必要があります。
6・設備の導入・更新
加齢により、日常の家事が負担になってきます。また火気を取り扱うことが危険になります。
負担軽減や安全対策のためにも、新しい日常家電を使ったり、火気の利用をやめてオール電化にするなど考えるといいです。
キッチンを交換して家事の時短、安全対策
- コンロをIHヒーターにして火の消し忘れ、衣服に火が燃え移るなどの事故防止。
- レンジフードを掃除のしやすいものに交換
- 食洗機を導入して家事の時間短縮
- 自動水栓などで水の止め忘れ防止
石油ストーブなどの火気をやめる
- エアコンと床暖房の併用をして、空気の汚れや結露防止による、健康空間にする。
留守や日中、深夜の防犯対策として
- 警備会社との提携。
- 電動シャッターや格子などの侵入防止対策。
- 外回りのセンサー付き照明、防犯カメラの設置。
- インターホンなどはカメラ録画機能で来訪者確認
- 情報収集、生活の利便向上の為の通信設備
- インターネット設備、Wi-Fi設備の環境を整える。
- 宅配業者などの利用が増えるのを見越し、宅配BOXの設置
7・光・音・匂い・湿度など
高齢期の生活では家で暮らす時間が長くなります。
家の中で光が差し込み、陽に当たることも重要になります。
加齢により、聴力や視力が衰えてきます。
- 障害となる壁などを取り除くことで、光が差し込み、風が通り、聞こえやすくなり、見渡しやすくなります。
- 夜間や暗がりの安全対策として、照明計画が必要になります。
- スイッチに触れなくてもセンサーで照明の入り切り、眩しくならないような間接照明での計画、足元などを照らす補助照明など照明計画は大切になります。
- 湿気、カビによる健康被害も考えられます。匂いによるストレスも発生します。
- そうならないように、換気計画や結露対策の為の断熱など考える必要があります。
- 建築材料などで湿度やニオイを和らげる素材があるので利用すると改善できます。
8・余剰空間の活用
子育ての為に広い家を購入し子育ても終わると、使わなくなった部屋になり放置されるか、不要なものの物置となり有効に活用されなくなります。
余った部屋を、自分の趣味や交流などの空間として利用しましょう。
収納空間を造り、主に使う部屋には物を置かないようにして広く使う。
ご近所の人との交流をしやすく縁側やテラスなどの半屋外空間を整える。
あるいは、寝室を広げて寝室にトイレやミニキッチンを設置したり、寝室から外に出入りが可能なように掃出し窓などにして、万が一の介護に備える
その他いろいろと考えられますが、生活が豊かになることに使うのもいいと思います。
最後に
人生100年時代が現実に感じ取れたのですが、まだ住宅環境は追いついていないように思います。
高齢期の健康で快適な暮らしのための住まい改修ガイドラインが2019年3月に発表されました。
その中で、高齢期を迎える前の可能な限り早い段階で、高齢期の住まいや住ま い方を選択することが重要とされています。
元気な内に、まだ余裕のある内にこれからの私たちの住宅の住み方を考えて、対策しておくべきと考えます。
最後に、リフォームするなら絶対に失敗したくない! を念頭にして考え、
今後もリフォームについて発信していきます。
参考になったことなど有りましたら教えていただけると今後の励みになります。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。